NIKON D850でToshiba FlashAir w-04を使ってみた~これはかなり使えますね~

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撮影した画像をiPadでモニターしたい

デジタルカメラで撮影している時にカメラのモニター画面でなくもっと大きな画面で撮影画像を見たいという欲求があります。特に人物の写真や商品の写真撮影では、クライアントとiPadなどの大きな画面で確認しながら撮影を行うとトラブルも激減します。

スタジオなど設備の整った場所なら、Adobe LightRoomのテザリング撮影でパソコンでモニタリングすればでいいのですが、出張で撮影するにはそれらの道具を持ち出すのが大変な荷物になります。またNIKON D850にはL字ブラケットを付けているのでUSB3.0TypeBといいう取り回しの悪いケーブルは出張撮影ではとても面倒なのです。

NIKONからSnapBridgeというカメラとタブレットやスマホをワイヤレス接続するソフトが提供されています。このソフトではBlueToothで接続してからwifiに切り変えますが、このあたりの動作が不安定なことがあり不安が残ります。

ToshibaのFlashAirを試すことに

そのような事情で、D850で撮影した画像をワイヤレスでiPadに転送する方法を探すことにしました。
以前からToshibaのFlashAirが使えないかなと思っていたのですが、D850の本体はマグネシウム合金なのでWiFiが本体の外に出るのかが不安です。
ネットで使用実績を探したのですが見つけることができませんでした。D850のボディのメディアの交換蓋はプラスチックなのでなんとか無線が飛んでくれるるんじゃないかと期待して、Toshiba FlashAir w-04を購入しました。

D850の記録メディアの設定

D850はXQDカードとSDカードのダブルスロットとなっています。
静止画撮影メニュー[主スロットの選択]で優先的に使うカードをXQDカードとします。
次に[副スロットの機能]を選んでRAW+JPEG分割記録を設定します。
そして撮影の[画質モード]はRAW+JPEGに設定して撮影を行います。

以上の設定で撮影した画像のRAW画像はXQDに、JPEG画像はSDカードに記録され、SDカードの画像はwifiでアクセスすることができるようになります。

さて、どれくらいの速度で画像を転送できるかを実験

画像の転送速度を知るために、ファイルサイズ別(Lサイズ 19MB、Mサイズ 10MBの画像),受信側の機器別(iPhone7、iPad mini2),伝送方法別(FlashAirとそのアプリ,D850+SnapBridge)の8通りの組み合わせでファイルの転送速度を比較しました。

DensouGraph
図1はiPadでの比較、図2はiPhoneでの比較です。

iPad mini2でもiPhone7でも、FlashAirの転送速度はD850本体+SnapBridgeより早く、およそ2倍位の速度が出ています。
iPad mini2とiPhone7を比較してみるとiPhone7のほうが転送が早いようです。
これらの速度の違いはそれぞれの機器が実装しているwifiの規格のパフォーマンスの差がそのまま出ているようです。

送信側
D850: IEEE802.11 b/g
FlashAir: IEEE802.11 b/g/n
受信側
ipad min2 : IEEE802.11 a/b/g/n
iphone7 : IEEE802.11 ac

FlashAirで使われている802.11nの伝送速度は、D850で使われている802.11gの2〜3倍程度速いのでどの組み合わせでもFlash AirはD850本体+SnapBridgeより速い速度で転送できました。
FlashAirのカタログでは「無線による転送速度は ..(省略).. 31.4Mbpsを実現」と書かれています。
ipad min2とiphone7の差の原因はよく判りません。wifi規格の802.11nと802.11acの差によるものなのか、単純に古いipadと新しいiPhoneのCPU能力の差によるものなのかは判別できませんでした。

この組み合わせの中ではFlashAirとiPhone7の組み合わせが一番早いようで、Mサイズの画像なら4秒で転送ができるので、撮影しながらモニタするのもそんなに待たされることも無いでしょう。

各社の一眼レフカメラで採用されいているwifi規格

今回の調査をやって、D850のwifiがIEEE802.11 b/gとちょっと古めの規格だったのが意外でした。
速いwifiがほしいのだったら外付けアクセサリのワイヤレストランスミッターWT-7を買いましょうと言うことなのでしょう。
NIKON WT-7はIEEE802.11 ac を使っているので伝送速度はかなり早いと思いますが、気軽に手を出せる値段じゃありません。

他のカメラはどうなんだろうと調べてみると以下のようでした。

  • NIKON D850: IEEE802.11 b/g
  • NIKON Z7:  IEEE802.11 b/g/n/a/ac
  • CANON 5D mk4: IEEE802.11 b/g/n
  • CANON EOS R: IEEE802.11 b/g/n
  • SONY α 7RIII: IEEE802.11 b/g/n
  • PENTAX K1 mk2: IEEE802.11 b/g/n

NIKONの新しいミラーレスカメラ NIKON Z7のwifiの充実度は特筆モノです。メーカーのこのカメラにかかる本気度がこんなところにも現れていそうです。他の主要なフルサイズカメラでもIEEE802.11 b/g/nが採用されていますので十分速いんじゃないでしょうか。

私の目的からいうとiPhone7の画面では小さすぎるので、ipadでモニタリングすることになります。もう少し新しい世代のiPadにすればかなり使えるんじゃないかという感触です。
802.11 acを採用しているiPad mini4を選んだらいいのでしょう、多分。