東大寺二月堂修二会2020 〜別火入り 社参 注連縄かけ〜

東大寺二月堂の修二会(しゅにえ)は、天平勝宝4年(752 大仏さま開眼の年)に東大寺初代別当良弁僧正(ろうべんそうじょう)の高弟、実忠和尚(じっちゅうかしょう)が笠置山の龍穴で天界の行法を見て、その行法の素晴らしさに心打たれこの世に移したとされています。以来、戦乱や火災に見舞われても続けられてきたことから「不退の行法」とされ、平成2年(2020)には1269回を数えます。
11人の練行衆が二月堂本尊の十一面観世音菩薩に日常の罪を懺悔し、その年の平安や五穀豊穣を祈る「十一面悔過法要」です。

修二会は2月20日から始まる前行と、3月1日より14日まで行われる本行から成ります。今年は新入がおられたので前行は2月15日から始まりました。

別火入り 2月20日

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2月20日は戒壇院別火坊で試別火(ころべっか)が始まる日です。練行衆が別火坊に入られるまでの時間を利用して二月堂に上がってみました。参籠宿所前の広場には大松明に使われる真竹が整然と並べられて出番を待っています。

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北の登廊横の梅が参籠宿所の屋根をバックに白い花を咲かせていました。

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午後6時半ごろから、練行衆が戒壇院に設けられた「別火坊」に次々と入って行かれます。すでに15日から入っている新入の練行衆と合流し、3月1日の本行に向け一般の人と火を別にして精進されます。

社参 2月21日

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練行衆が和上を先頭にして、東大寺内の八幡殿、大仏殿、天皇殿、開山堂に参詣し行の安全を祈願します。

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開山堂の参詣の後湯屋で入浴します。これは「試みの湯」と称して、単に身を清めるだけでなく厳しい行への決意を固める儀式です。その後二月堂の舞台に上がり、北西の角から聖武天皇陵と本尊を拝みます。

注連撒きと注連掛け 2月21日

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練行衆の社参が終わったあとに注連撒きと注連掛けが行われます。注連撒きではこのような3重の輪の注連縄が使われます。

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この注連縄は遠敷社と飯道社に供えてお祓いした後、堂童子によって撒かれます。石段下にいる童子がこれを受け取り、各練行衆自坊の門口に掛けます。うまく受け取れずに地面に落ちた注連縄は「チリ」といって使われません。それを気遣いしてか、堂童子さんは童子さんが受けやすいように優しく投げてくれます。

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注連撒きの後、注連縄を二月堂の石段、四月堂横の石段、および中性院前の参道に掛けて結界します。この注連縄は二月堂独特の形式で、神道の「弊」と仏教の「樒(しきみ)」をはさみ、結界縄としています。