天理市長岳寺、天理市福住の石仏を訪ねる
2020年10月30日撮影
秋も半ばを越え、最近は暖かい穏やかな日々が続いています。ふと石仏を見たくなって、天理市長岳寺から天理市福住方面に行くことにしました。
イメージとしては暖かい晩秋の陽を受ける石仏です。
天理市長岳寺の石仏
山の辺の道を歩く人にとって長岳寺は必ず立ち寄るお寺さんかと思います。弘法大師が開いたと伝わる真言寺院で、カキツバタやヒラドツツジが美しく花のお寺として知られています。
不動堂にはちょっとかわいい不動明王様がおられます。右手に剣を持ち、背中の火炎の光背が不動明王そのものですが、とても親しみやすいお姿です。全身が四等身なのでそう見えるのでしょうか。左手のモミジが赤く色づくのはもう少し先です。
不動明王の隣には美しい顔立ちの地蔵菩薩様がおられました。
大師堂の脇の道を通り山道に続く階段を登っていくと、大きな弥勒大石棺仏が姿を現します。高さは2mを越える大きな石仏は鎌倉時代の作とされており、古墳の石棺の蓋を使って造られたと言われています。石棺の蓋を使って仏様を作るという発想は現代人はまず思いつかないでしょう。
長岳寺を出て門前の町並みを歩くとこんな石仏に出会いました。右手に錫杖を持ち、左手には数珠、おそらくお地蔵様ですね。なんともポップなお姿で、中南米のどこかの史跡で見ても違和感がなさそうです。
こちらのお地蔵様も門前を歩くと出会うことができます。お顔を見れば見るほど気分がほっこりするお地蔵様です。
天理市福住の石仏
こちらの石仏は福住の阿弥陀石仏です。名阪国道の福住インターを降りて北に300mぐらい走ると右側のガードレールの側におられます。笠石を頭上に載せているのが特徴です。笠地蔵という言う方が多いし、googlemapでも笠地蔵と書かれていますが、正しくは阿弥陀石仏のようです。
福住町浄土ににある十王仏(じゅうおうぶつ)という石仏です。こちらの石仏も笠石が載せられています。道路のすぐ脇ですが、木の陰に隠れるようにおられるのでうっかり見逃してしまいそうになります。十王仏は、死後の世界で亡者の審判を行う裁判官のような方ということです。十王仏ですが、上段に3体、中下段に4体づつ11体の仏がおられます。後からWEBで調べると上段中央が阿弥陀如来でその他10体が十王仏のようです。
福住町別所にある泥かけ地蔵です。氷室神社を右手にみてゴルフ場(ヤマトカントリークラブ)に入る分岐点におられます。明徳元年(1390)の双石仏で、向かって右側が阿弥陀如来で左側が地蔵菩薩です。病気になったときに、石仏の病気の部位と同じ場所に泥を塗って病気が治るようお祈りをすると伝えられています。
福住と奈良盆地の平野部(国中・くんなか)を結んでいた七廻峠におられる受け取り地蔵です。今ではこの道を通る人はハイカーぐらいですが、昔は村人が薪や炭を荷車に積んで国中へ売りに行ったり、行商人が行き来したようです。受け取り地蔵ということですので、亡くなった方を埋葬するための棺を乗せる石台も残っています。
建長五年(鎌倉時代1253年)の年号があります。長い年月の間、山中と国中の、そして現世から来世への数え切れないほど多くの人の往来を見て来られたのでしょう。