明日香村の男綱、女綱の掛けかえ行事
2021年1月11日撮影
奈良の農村地帯では疫病などの災いが村の中に入ってこないように村の入り口に結界「勧請縄」を張る風習がいまも残っています。
明日香村では飛鳥川に勧請縄があり、上流の栢森では「女綱」が、下流の稲渕では「男綱」が掛けられています。「女綱」「男綱」とも1月に掛けかえ行事が行われ、「女綱」は1月11日に、「男綱」は成人式の日と定まっています。
今年はカレンダーのめぐり合わせで1月11日が成人式の日でしたので「女綱」「男綱」が同じ日に掛けかえが行われました。
2018年の女綱の掛けかえの様子はこちらから⇒ 明日香村栢森の綱掛神事〜女綱の掛け替えを見てきました〜
稲渕地区の男綱の掛けかえ
同じ日の掛けかえですが少し開始時刻が違うので、始まる時刻が早い稲渕地区から見せてもらいました。
まず古い縄を外します。男綱は飛鳥川のかなり上を通る道路に掛けられた橋のさらに上に掛けられていますので、古い縄を外すのもたいへんです。新しい勧請縄は毎年この橋の下で作られています。
川を越えて渡す勧請縄ですのでかなりの長さの縄が必要です。新しい縄を向こう側に渡すため村人だけでなく観光客もカメラマンもみんな手伝って縄を移動させていきます。
勧請縄には等間隔に紙垂(しで),榊,わらの束が付けられていきます。
男綱でいちばん大事な男性のシンボルです。一年間落ちないようにしっかりと縛るのと、綱が張られたときにちょうど真ん中に位置する場所を探すのが難しそうです。
無事に新しい綱に掛けかえができました。下の橋ではこれから行われる神事の準備ができて、これから飛鳥坐神社の神職による神事が始まります。
そろそろ栢森の「女綱」のほうが気になってきて、こちらの神事を見ることもできず栢森に移動しました。
栢森地区の女綱の掛けかえ
栢森の女綱は女綱が掛けられている場所から離れた集落の中で綯(な)われます。
女綱が完成すると担いで運んで行くためにぐるぐるとトグロ状に巻かれ、てっぺんに女性のシンボルが置かれます。
ぐるぐる巻きの女綱におおこ(担ぎ棒)を刺して二人で担ぎ、龍福寺の住職を先頭に集落を歩いていきます。
歩きはじめて思い出すのは「たしかこの住職さん歩くのがとても速かった」。。。カメラマン達は小走りで行列についていきます。女綱は重いので歩くのが大変そう、住職さんからかなり離されました。
福石と呼ばれる石に祭壇が設けられています。お坊さんの法要が執り行われました。
法要が終わると川を渡して今年の女綱を掛けていきます。
今年も無事に綱の掛かえが終わりました。あたりはすでに暗くなってきています。