2024春日若宮おん祭〜お渡り式、お旅所祭〜

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2024年12月17日撮影
12月17日は春日若宮おん祭で中心となる日で、最も多くの祭事が行われる日です。0時の遷幸の儀 (せんこうのぎ)から、御旅所での暁祭、お昼12時からのお渡り式、14時半からのお旅所祭、23時からの還幸の儀(かんこうのぎ)と盛りだくさんの行事があり見どころ満載です。
いままで何回もおん祭を見てきましたが17日の初めから終わりまでを通して見ることは体力的にも大変で、今年はお渡り式とお旅所祭の一部を見せてもらいました。

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過去の投稿(2018/12)→2018春日若宮おん祭〜お旅所祭〜
過去の投稿(2017/12)→2017春日若宮おん祭(その1)〜お渡り式〜
過去の投稿(2017/12)→2017春日若宮おん祭(その2)〜お渡り式からお旅所祭〜

馬たちのウォーミングアップ

午前中は飛火野で、お渡り式に参加する馬たちのウォーミングアップを見るのが常です。お渡り式では馬50頭前後が参加しますが、各地の厩舎から馬運車で奈良まで運ばれてきます。かなり長い距離の移動なので車から降ろされた馬たちは飛火野の野原を歩いたり走ったりしながらウォーミングアップを行います。お渡り式に参加する騎手の方は行列の衣装を着けての乗馬です。

南大門交名の儀

お渡り式は御旅所にいらっしゃる若宮様のもとへ、芸能集団や祭礼に加わる人々が社参する1000人規模の行列で、おん祭でもっとも華やかな行事です。行列は12:00に県庁前を出発して、近鉄奈良から油阪を通り、三条通りを東に、一之鳥居を越えて御旅所に向かいます。
今年は三条通りを過ぎた興福寺南大門跡でこの行列を見ました。
南大門では興福寺僧兵による南大門交名(こうみょう)の儀が行われます。昔はお渡りの一行は祭礼の主催権をもつ興福寺に敬意を表して通過しなければななりません。現在では、古式に習い興福寺の旧南大門跡に僧兵の姿をした衆徒5人が並び、お渡り式に遺漏がないかを見守ります。お渡り集団がそれぞれの役柄を名乗ってから通過します。交名の読み違いや不作法があると、再度引き戻してやり直すとか。

競馬(けいば)

競馬では赤と緑の装束に身を固めた騎手が参道を競争します。3組の競争が行われ、馬出の橋から、御旅所前の勝敗榊(しょうはいさかき)まで速さを競います。赤と緑の馬の勝敗数により、お旅所祭の舞楽の左舞の蘭陵王と右舞の納曽利の順番が決まります。
二頭の馬が参道の直線を砂を蹴りながら駆け抜ける姿はスピード感満点です。

稚児流鏑馬

おん祭の流鏑馬は稚児による流鏑馬です。揚児(あげのちご)一騎・射手児(いてのちご)二騎の合計三騎が一の的・二の的・三の的を順次射ながら参道を進んでいきます。
それぞれの的の前で止まって的を射るのですが、観衆が多いせいで馬が落ち着かずなかなか静止してくれません。狙いを定め矢を放つとカーンと甲高い音を立てて的を射抜きました。

お旅所祭 東遊(あずまあそび)

お渡り式の大名行列がお旅所に到着する午後2時半頃からお旅所祭が始まります。神楽や田楽、細男、舞楽などの各種芸能の奉納が午後11時ごろまで続き、若宮様に楽しんでもらいます。
神楽奉納の後東遊(あずまあそび)が始まりました。

お旅所祭 田楽

華やかな五色の御幣を押し立てて綾藺笠をつけ、編木、笛、太鼓をもつグループです。奈良一刀彫りの起源といわれる人形を飾った大きな花笠が目を引きます。

お旅所祭 細男(せいのお)

白い衣の六人の舞人が白い布を目の下に垂らし、袖で顔を覆いながら演じます。小鼓を打ち、袖で顔を覆いながら進み、また戻りながら舞う静かで素朴な振り付けです。とてもこの世のものと思えない不思議な雰囲気の舞で、何回も見ているはずなのに今年もその不思議な世界に飲み込まれました。