従来の組織構造がイノベーションを妨げる
Organization Chart / Luc Galoppin
おもしろいことに、ある製品を開発している組織のチーム構成は、開発している製品のパーツ構成ととても良く似たものになります。例えば、電気ポットを開発する組織ならそのチーム構成は、金属系の構造設計、プラスチック系構造設計、水まわりのヒーター、容器、サーモ、保温・放熱、給水ポンプ機構の設計、電気まわりの回路設計、制御ソフトウェア設計と開発チームが組織されていると思われます。
製品のイノベーションを考えた場合、製品の基本的なアーキテクチャを変更する必要がなければ、このような組織構成のままイノベーションを推進していけばいいのです。しかしイノベーションの狙いによって、製品アーキテクチャの大きな変更が求められるような場合や、今までのお客様と異なるニーズを持つマーケットが対象となると、従来の組織構造のままではイノベーションは起こりません。
たとえば、HEMS(Home Energy Management System)に接続するイノベーショナルな電気ポットを開発しようとしたとき、従来のマーケットからのニーズをまとめてもHEMSのなかで使う電気ポットの要求はでてきませんし、開発チームが担当するパーツを個々にレベルアップしてもマーケットニーズを満たすとは思えません。
それは従来の組織構造が、構成部品ごとの改善を行うにことに最適化されているが、システム全体を見通す中でイノベーションを考えるには難しい構造となっていることに一因があります。製品のイノベーションを考えるときには、その狙いを明確にして、いまの組織構造のままで推進することができるか考えてみることが重要です。