効率化だけの分業化では熱い想いは届かない

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設計プロセスの効率を上げようとする場合、設計工程の仕事を細分化して仕事の範囲を決めて、そして各工程ごとに能力(専門性)を上げるというやり方が多いようです。製造プロセスでそのような仕事の分業化により飛躍的に生産性を上げた時代があったので、設計プロセスでも同じやり方が採られるのでしょう。

設計プロセスがシンプルなうちはこれでも効率が上がるのですが、複雑な設計プロセスでこの分業化を進めすぎるとどうも調子が悪くなるようです。

それぞれの工程では、割り当てられた仕事範囲の責任を果たすのが最優先となって、自分の担当範囲しか見えなくなります。自分たちの仕事が十分必要な品質レベルに達していても、他から責任を追求されないように、自分が使える費用や人数や時間などの資源をフルに使って磨き上げます。
逆に、仕事が遅れがちで納期プレッシャーを受けると、品質レベルに達しているかという判断でなく、担当分野の責任を果たしたように見えるかと判断で次の担当に仕事を送り込んでしまいます。

仕事の分業化で、責任や判断する仕事、トラブル解決やアイデアを出す仕事までが分断されてしまいます。部署間で判断しなければならない事柄がいつまでも未決のまま残り、プロジェクトのスピードが一気に遅くなります。
さらに、仕事のパッションが分断化されます。プロジェクトの最初にあった、あのお客さんにこの商品を届けたいとか、あのお客さんの笑顔がみたいという熱い思いが多くの部署のゲートをくぐるごとに、どんどん冷めていきます。単に右から左にこなすだけの仕事に変わってきます。

設計プロセスの分業化は、単に効率アップだけの為の分業でなく部署の総合力を発揮するとための分業化でありたいものです。みんなの「力」をあわせるため、みんなで「課題解決する」ため、みんなの「アイデア」を結集するための分業化を、そして、みんなのパッションを集めるための分業化でありたいものです。